リスク情報

当社グループの財政状態、経営成績績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
記載事項のうち将来に関する事項は、2024年3月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。

①経済環境に関するリスク

1)経済動向・市場環境

当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向に大きく影響を受けます。
当連結会計年度は、国際情勢が一段と不安定化し不確実性が高まる中、年度の後半より世界経済は減速の傾向が続きました。世界的なエネルギーや食料価格の高騰、欧米各国の金融引き締め等による世界的な景気後退懸念など、経済を取り巻く環境は厳しさを増しております。
米国経済は、金融引き締めが続く中、安定した雇用情勢と賃金上昇による良好な家計状況に支えられ、堅調に推移しました。しかし、長期金利上昇の影響及び商業用不動産市況の悪化による金融不安に起因した景気後退のリスクが懸念されております。
欧州連合(EU)の経済は、ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢によるエネルギー供給の制約や価格高騰、またそれ以外の物価も高止まりしていることから経済活動は停滞しており、さらなる金融引き締めによる景気後退リスクが懸念されております。
中国経済は、不動産市場の長期低迷、ゼロコロナ政策の後遺症による個人消費の伸び悩み、インフラ投資抑制等により景気は停滞しました。大手不動産会社の破綻リスクが高まる等、不動産市場の低迷に起因した金融不安は解消されておらず、今後の景気回復に与える影響が懸念されております。

 

今後の世界経済は、ウクライナ情勢や米中対立等の地政学リスクへの警戒感や世界主要国をはじめとする金融引き締めによる悪影響が想定されます。特に、米国やEUの金融不安が拡大した場合、経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、米国における経済安全保障の強化は、自国の半導体を中心とした技術力強化に大規模な予算を投じるほか、対外的な先端技術の流出を阻止する動きに拍車がかかる可能性があります。このような動きは、先端技術や重要物資を中心に既存のサプライチェーンに大きな影響を及ぼす懸念があります。
こうしたリスクが発生し、各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や消費行動の変化を引き起こし、結果として当社の予想を超えた新規機器購入の減少、競争激化に伴う販売価格下落、在庫増加等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)為替レートの変動

当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約4億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約10億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約1億円のマイナスの影響を与えます。

②事業活動に関するリスク

1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク

先進国を中心に、情報共有の媒体としての役割が紙からタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器に急速に移行していることに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、世界中の企業においてリモートワー ク、ハイブリッドワーク及びワークフローのデジタル化が加速しており、今後もオフィスにおけるプリント需要は継続的に減少することが予測されます。IDC(International Data Corporation)によると、2025年の世界市場における電子写真方式による総プリントボリュームは、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年レベルと比べて約3割減となると予測されております。カラープリントは2019年比で82.9%に留まるものの、モノクロプリントは63.0%まで落ち込む予測となっております。永続的にプリントボリュームが下落し続けるわけではなく、ある水準で下げ止まるという見方もあるものの、現時点では、それがどの水準で、いつなのかの確証は得られておりません。このような状況下で、今後の顧客動向に迅速に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)各国・各地域の規制

当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報保護規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案や欧州GDPRなど、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進しているDX関連事業への影響が高くなります。
さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続き等の変更に直面するリスクがあります。
また、特に、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3)次世代技術変化

生成AIの急速な普及や環境法規制等といったグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い事業環境が大きく変貌するリスクがあります。これらの変化の中で、他社に先んじた技術革新は当社グループにとって重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。また、グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

4)新製品への移行

当社グループが事業展開する分野は、ハードウエア・ソフトウエアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入して研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行は多くのリスクが内在しております。例えば、開発または生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響、半導体・部品・材料の調達影響など、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似する製品・サービスが先行投入される等、競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

5)他社との協業、企業買収等について

当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収等を進めております。
企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等では、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

6)調達・生産等 

当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しております。重要な活動拠点の一つの中国では、経済発展とともに法制面の改定やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、輸出入規制や税制、環境規制の変更、台湾にかかわる問題等、予測困難な事態が発生する可能性があります。また、中国のみならず新たに各国の法的な変化、税制・規制見直しによる事業影響が懸念されます。継続して、世界的なインフレによる生活費上昇等の影響により、各国における最低賃金切上げによる労働者の賃金上昇リスクが高まっており、生産コストの上昇につながる可能性があります。生産活動においてこれらのリスクに対処できない場合は、当社グループの経営成績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態や震災等の自然災害が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

7)グローバルサプライチェーン

当社グループの生産、販売活動の多くの部分は日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)における生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。中国・ASEAN各国で新たな感染症のパンデミック等による活動制限が再び発生した場合、港湾・空港での荷役作業の停滞・混雑により物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクを及ぼす可能性があります。

一方、製品の輸出先である欧米主要国では、主要各港での港湾労使交渉の長期化・決裂によるストライキの発生や、パナマ運河の水不足による通航制限継続、スエズ運河航行制限(喜望峰ルートへの迂回)影響による供給リードタイム延伸とコンテナ輸送費上昇の長期化等により、販売拠点における在庫不足の発生によって顧客への納品遅延による売上機会損失等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、日本国内では「2024年問題」による供給リードタイム延伸や物流コストの上昇リスクが、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、「発生可能性」は、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化による紅海・スエズ運河ルート回復の目途が立っていない状況が継続していることから、評価を「中」から「高」に変更しております。

8)製造物・品質責任

当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③その他のリスク

1)人権

当社はグローバルに事業を展開している一方で、東南アジアに多くの部品・材料の取引先があります。サプライチェーン全体での人権が十分尊重されていない場合、サプライチェーン上において児童や移民労働者が強制労働、長時間労働等の人権に関する負の影響が発生する可能性があります。こうした事態は、生産及び販売活動の停滞や企業ブランド・製品ブランドが毀損され、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、2011年に国連人権理事会において「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」が採択されたことにより、 各国で人権尊重に関する国別計画(ビジネスと人権に関する国別行動計画)の策定が進められ、例えば英国では現代奴隷法、ドイツではサプライチェーンにおける企業のデュー・デリジェンスに関する法律等が制定されています。最近では、EUにて企業持続性デュー・デリジェンス指令(CSDDD)案の採択や強制労働法により生産された製品のEU域内での流通、EU域外への輸出を禁止する規則案の政治合意がなされる等、各国における法規制の強化が加速しております。これらに対応するための費用が発生する、法規制に対応する社内整備に工数がかかる、また予期しない事態に対応できない場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)大地震・自然災害・感染症等

当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害、大規模な感染症の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等による顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。

3)気候変動・環境規制

世界全体が低炭素社会へ移行した場合、環境関連の法規制が厳格化する恐れがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求が高まることにより、投融資を受ける機会及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。
また、オフィスにおける紙への出力の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加なども当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、気候災害による森林資源の被災等により、紙原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、気候パターンの変化等気候変動の慢性的な影響が発現すると、原材料等の供給量が制限又は一時停止することで、当社拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。
加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動にかかわる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。

4)知的財産権

当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。
また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。

5)人財確保

当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、先端技術人財であるAIのスペシャリスト等のIT人財の獲得は獲得上のコンペティターが多く、また、その業界も日本に限らずグローバルに渡るため、報酬等の一要素だけで惹きつけることは困難であり、会社の魅力や働くことの付加価値への訴求に対する重要性が増しております。当社グループの魅力や働くことの付加価値を高めることができない場合、人財確保がより困難になる可能性があります。

6)情報セキュリティ

昨今、企業を狙ったサイバー攻撃の攻撃手法が高度化、巧妙化しており、中でも、ユーザーアカウントのログオン認証を窃盗し、集中管理されている社内ネットワークに侵入し管理者権限を奪取、不正操作を行うといった被害事例が、国内外で多数発生しており、このようなサイバー攻撃に対するリスクは拡大しております。
当社グループにおいても、サイバー攻撃により管理者権限が奪取された場合、不正操作等により、技術、営業秘密、人事等にかかわる当社グループの秘密情報が第三者に漏えい、不正に使用される等の重大な情報セキュリ ティインシデントが発生する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性が あります。

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