ニュースリリース

ノバケアとコニカミノルタ、
AIを活用した介護分野での協業に合意
システム連携により日常生活での動作向上に貢献

2022年11月8日

株式会社ノバケア
コニカミノルタ株式会社

株式会社ノバケア(本部:東京都港区、社長:岡本 茂雄、以下 ノバケア)とコニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大幸 利充、以下 コニカミノルタ)は、介護分野での協業に合意し、ノバケアの自立支援介護リハビリAIとコニカミノルタの「HitomeQ(ひとめく)ケアサポート」のシステム連携を進めます。これにより、介護サービス利用者のリハビリテーション(以下 リハビリ)への効果的な適用が可能となり、高齢者のADL*1(Activities of Daily Living:日常生活動作)の向上に貢献します。

【背景と狙い】

超高齢社会を迎えた日本の介護に関する様々な社会課題が急増する中で、高齢者の自立を促進し、要介護度の悪化を抑制することは大変重要です。そのためには、高齢者一人ひとりの状態像を正しく把握し、その方に最適なケア・リハビリを提供することが必要となります。状態像をより正確に把握する方法として、近年、科学的アプローチが注目されており、2021年度の介護報酬改定で科学的介護情報システム(LIFE*2)が導入されたことからも、介護現場における高齢者のADL評価(アセスメント)の重要性が高まっています。
ノバケアは、要介護者の状態像の現状と、リハビリテーションを含む介護の実施状況からの予後予測、状態像の現状と近未来の目標状態から最適な運動習慣・栄養摂取・社会参加・リハビリテーション・ケアプランの作成支援を、大規模データの機械学習により科学的裏付けをもっておこなうサービス事業を開発しています。コニカミノルタは、独自の画像センシング技術と、介護現場の知恵や経験を融合して「HitomeQケアサポート」を開発し、介護施設の課題分析をはじめとして、ICT環境の導入とオペレーション定着、さらに、今後より期待される科学的介護や個別ケア実現に向け、行動認識AI技術を活用し、介護施設の業務をトータルに支援しています。

この度の協業では、AIが最適なリハビリメニューを提案するノバケアの自立支援介護リハビリAIに、「HitomeQケアサポート」の行動分析センサーに搭載された画像認識AIによる介護施設居室や自宅などの生活空間でのアセスメント結果を取り込み、ADL改善に向けた最適リハビリプランを状態像の変化に応じ、適時、作成する総合システムの共同開発をおこないます。これにより、従来のリハビリ室での目視のみによるアセスメントから、生活空間での日常生活の動作を基にしたアセスメント結果を利用した最適リハビリプランを提供できるようになり、高齢者のADL向上に貢献します。
両社は、ADLの向上を通じて、より良い介護の実現と、高齢者のQOL*3(生活の質)向上をめざします。

【両社の技術】

1.ノバケア:リハビリと日常生活をつなぐ自立支援介護リハビリAI

ノバケアは、作成する療法士ごとに効果にバラつきが生じるリハビリメニューについて、誰が作成しても高い効果を得られるよう、自立支援介護リハビリAIの開発をおこなってきました。利用者のADL評価の指標であるバーセルインデックス*4(BI : Barthel Index)を入力することにより、最適なリハビリメニューの提案と、リハビリメニューを実施した際に到達するADLの予測をおこないます。これにより、リハビリの実施によって利用者が得られる、近未来の生活像をも具体化し、利用者のリハビリへの意欲を高める効果も期待できます。
また、療法士が利用者個人にあわせてAIの策定したリハビリメニューを変更し、そのメニューでの予測ADLを利用者に提示することが可能で、合意形成を円滑に進めることができます。これにより、利用者のモチベーションの向上をもたらし、リハビリを自律的に進めることにより、リハビリの効果をさらに高めます。

2.コニカミノルタ:介護現場の働き方を変える「HitomeQ ケアサポート」

「HitomeQ ケアサポート」は、居室の天井に備え付けた行動分析センサーで入居者の行動を解析し介護スタッフのスマートフォンに映像とともに通知、転倒事故発生時にエビデンス映像の自動記録、ケア実施後すぐにスマートフォンで簡単入力できるケア記録などの機能を備えています。これにより、介護スタッフのワークフローを変革し、業務を効率化させることで余裕時間を生み出し、入居者のQOLを向上する充実した介護の実現に貢献しています。
さらに、コニカミノルタは天井の行動分析センサーの映像を画像処理することで、毎日24時間、入居者の居室内での行動を数値化して蓄積するとともに、ベッド周りの姿勢推移から歩行や移乗といった身体機能のアセスメントを自動でおこなう機能を開発しました。これにより、歩行速度や活動量といった行動指標を日常的かつ連続的にとらえて比較したり、アセスメント結果の推移を確認することで、生活空間における小さな変化を発見することが可能です。

【協業が生み出す価値】

1.実際の生活空間のADL評価によるリハビリプランで効果向上

「HitomeQ ケアサポート」を自立支援介護リハビリAIに連携することで、従来の病院や介護施設のリハビリ室や検査室でのADL評価のみで策定するリハビリプランから、テレビやテーブルなどのADL阻害要因が共存する実際の生活空間(介護居室や自宅)におけるADL評価に基づくリハビリプランを策定することが可能になり、実際に生活している空間でのADLの改善を実現します。
今後は、「HitomeQケアサポート」によるBIの自動判定、およびこのBIのデータの自立支援介護リハビリAIへの自動取り込みとリハビリプランの自動策定の開発を予定しています。さらに、1日の活動量、日常生活での歩行状態、転倒時の状況を「HitomeQケアサポート」で把握し、自立支援介護リハビリAIを通じて迅速なリハビリプランに反映することで、活動量・筋力の増加、転倒予防に繋ぐことが可能になり、ADLの状態と転倒の状況を明確にし、転倒原因の分析と、それを防ぐ生活提案も可能になると考えています。

2.ADL変化に即時対応した適切なリハビリプランの策定

毎日24時間稼働している「HitomeQ ケアサポート」により、日々変化するADLを日常生活空間で即座にとらえ、自立支援介護リハビリAIに反映させることで、迅速なリハビリプランの変更が実現できます。従来のリハビリ室のみでのアセスメントでは難しかった、緩慢なADL低下や急変をとらえることが容易になり、このようなケースにおいてリハビリの効果、悪化予防の効果などの点で大きく改善でき、介護施設や自宅でのリハビリの進化に寄与できるものと考えています。
将来的には、ノバケアが展開するフレイル予防、MCI(軽度認知症)予防、生活習慣病予防などのAIと、「HitomeQケアサポート」の行動分析センサーの連動により、介護分野のみならず高齢者の虚弱化予防、自立支援全般の支援のためのAIシステムの提供をめざします。

3.施設スタッフの業務負担を大幅に削減

この度の協業では、日常生活におけるアセスメントという業務を自動化することにより、その実行密度を高めつつ、施設スタッフの業務負担を大幅に削減することも目的のひとつとしています。自動アセスメントとそれに基づくケア・リハビリ計画の策定は、介護施設や病院のリハビリにおいてDX(デジタルトランスフォーメーション)をもたらし、大幅な効率化を実現するものと考えています。

これからも両社は、介護に関する社会課題をDXで解決するために、お互いのテクノロジーを活用しながら自社の強みをさらに強化し、協業のシナジーを高めていきます。

*1ADL:Activities of Daily Livingの略。最低限の日常生活が自力でどの程度おこなえるかを示すもので、寝返り、起き上がり、更衣、食事、排尿、排便、入浴、移動、階段昇降などの動作のこと。

*2LIFE:Long-term care Information system For Evidenceの略。厚生労働省が運用する、介護サービス利用者の状態や、介護施設・事業所でおこなっているケアの計画・内容などを一定の様式で入力すると、インターネットを通じて厚生労働省へ送信され、入力内容が分析されて、当該施設等にフィードバックされる情報システム。

*3QOL:Quality of lifeの略。

*4Barthel Index:ADLを評価する方法のひとつ。日常生活に関する全10項目の動作について、それぞれ「自立」「部分介助」「介助」のいずれの状態か判断し点数付けする。

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