ニュースリリース

有機EL用青色りん光材料で平成26年度「化学技術賞」受賞
~発光材料とホスト材料の「2分子同時設計」で発光性能と耐久性を両立~

2015年5月25日

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:山名 昌衛、以下 コニカミノルタ)は、「有機EL用青色りん光材料の創成と、それを用いた高効率・高耐久発光デバイスの開発」に対して、平成26年度「化学技術賞」(主催:一般社団法人近畿化学協会、会長:中條 善樹、以下、近畿化学協会)を受賞いたしましたのでお知らせいたします。表彰は、5月22日(金)に大阪市内にて行われました。
近畿化学協会の「化学技術賞」は、化学に関連する研究及び技術で顕著な業績があると認められたものに対して贈られる歴史ある賞で、化学領域において高い権威があります。今回の受賞により、コニカミノルタの有機EL用青色りん光材料が価値の高い技術であると認められたと考えています。

受賞者とその業績

コニカミノルタ株式会社 アドバンストレイヤー事業本部
有機材料研究所   伊藤寛人、大津信也、井上暁
OLED事業部 技術開発部   小野雄史、加藤一樹

「有機EL用青色りん光材料の創成と、それを用いた高効率・高耐久発光デバイスの開発」

開発の成果

コニカミノルタでは、長年にわたり青色りん光の発光現象を解析し、さまざまな新規化合物を作り出して性能向上を目指しています。近年、発光材料とその発光材料に電荷を受け渡すホスト材料の特異的な組合せで大きく耐久性が変化することに着目し、この2つの材料を化合物デザインの段階から一緒に開発する「2分子同時設計」という独自の手法で発光性能と耐久性の両立を図ってきました。その結果として2012年には、輝度半減時間10万時間を達成した※1長寿命の青色りん光デバイスを開発するに至りました。
さらに、りん光発光材料の性能を最大化する光取出し設計、および発光デバイス全体の最適化層設計により、2014年には、電球色の面状発光としてはLED照明を超える世界最高の発光効率139lm/W、輝度半減時間5.5万時間以上を両立した※2照明用白色有機ELデバイスを開発しました。これは一般家庭やオフィスで使用する照明装置としても十分適合する性能です。

~実績一覧~
2006年 6月 発光効率64 lm/W、発光寿命約1万時間の有機EL白色発光デバイスを開発
2011年 10月 全ての光にりん光を採用した世界初の照明装置「Symfos OLED-010-K」を商品化
2012年 5月 輝度半減時間10万時間を達成した※1長寿命の青色りん光デバイスを開発
2014年 6月 世界最高の発光効率139lm/W、輝度半減時間5.5万時間以上を両立した※2照明用白色有機ELデバイスを開発

※1:外部取り出し量子効率(EQE) = 22 %、輝度半減時間(LT50) =10万時間 @300 cd/m2

※2:発光効率139 lm/W、輝度半減時間 >5.5万時間 @1000 cd/m2、色温度; 2800K

本成果の一部は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発」プロジェクトの委託を受けて開発したものです。

開発の意義

有機ELのキーテクノロジーと言える「青色りん光材料技術」、ならびにその性能を最大化する「層設計技術」を実用化レベルまで引き上げた今回の成果は、発光デバイスをりん光発光のみで形成する究極の有機EL照明が実現可能であることを示した実例です。これは、青色りん光材料開発のパイオニアであり、有機EL照明のリーディングカンパニーでもあるコニカミノルタであるがゆえに成し遂げることのできた、有機EL開発史に残る業績であると考えています。
また、全世界で使用する電力の約20%が照明用途である現状において、照明機器の消費エネルギーを抑制する今回の高効率・高耐久技術は、地球環境の課題への対策の一つとしても有益といえます。

コニカミノルタでは、本技術を基軸に、有機ELならではの面状・大面積・フレキシブル等の特長を組み合わせることによって、新たな照明文化の創造による豊かな未来の構築に貢献していきたいと考えています。

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